床の間

え~、毎度ばかばかしいお笑いを一席。

ある時、近所の町内会長さんのお宅で

花見をすることになりました。

気軽な客席です、お誘い合せのほどを、

会長さん、町内のものに声をかけます

集まった人たちはただ酒に気を良くして

会長さんのご機嫌をとろうと、

お宅を誉めちぎります。

「いやー、やっぱり会長さんのお家にもなると格式を感じますな」

「なにをおっしゃる。みなさんの家とかわりがありますかいな」

「いえいえ、うちなんかは歩けばみしみし音はする、雨漏りでふろが沸かせる始末ですわ」

こんな調子で皆が褒めるもんですから会長さんすっかり気を良くして家の自慢を始めます。

「あの欄間は名のある彫り師に作ってもらいましたんや」

最初は聞いていた皆の衆もだんだんにしらけてまいります。

「あの床の間に飾ってある、花瓶ですがな、あれはたいそう有名な一の焼いた、

もう二度とは出回らん品物ですわ」

しらけ鳥に気づかず続ける会長さん

すると、一人の男が

「きょうび、床の間のある家のほうがその花瓶より珍しいんちゃいます」

悦に入っていた会長さん急に興の冷めた様子で

「これやから困りますねや、趣のわからんお方は、

床の間のないような家はビジネスホテルと同じ。

つまり、食うて寝るだけの味気のないもんいうことですわ」

会長さん床の間の大切さをこんこんと語ります。

家に帰ってもおもしろくない男は今日あったことを嫁さんにはなします。

「なんやねん、床の間、床の間って家が十分広かったら

だれでも作ってるわい、あんな偉そうに上からモノ言わんでも」

「あんた、しゃーないやないの」

「何がしゃーないねん、あー悔し。」