奥さん

え~、毎度ばかばかしいお笑いを一席。

「おい、今日はここの奥さん来ねえのか?」

大工の若頭が新入りに天井を貼りながら聞いております。

「へぇ、今日は見てませんね、奥さん。」

「なんでぇ、今日も奥さんの色っぺぇお尻を拝めると思って勇んできたのによぉ~」

「確かに、あの奥さんお茶なんか入れてお盆で持ってくる後ろ姿なんか

これぞ柳腰って感じですもんね。」

「そうよ、お前も若けーのに分かってやがんな。

うちのカカアも昔はあの奥さんにひけはとらなかったのが、

今じゃ柳じゃなくてありゃ松だ」

夕方になって大工の棟梁がやって来ます

一つ一つ丁寧に仕事の確認をしてまいります。

「おい、今日の進み具合はどおでぇ?」

若頭ははしごからおりて答えます

「今日は奥さんがいらっしゃらなかったのでなんだか仕事に張りがなかったですぜ。」

「ばかなこと言ってんじゃないよ、ほれどれ位進んだか見せてみやがれ」

 はしごにひょいと飛び乗ると棟梁、天井をくまなく確認します。

「おいおい、どうなってんでぇ!この柱と柱を繋ぐ梁がねぇじゃねぇか!」

言われた若頭、驚いて天井を見上げます

「ばかやろう、ちんたら仕事しやがって。」

「すんません、でもここの奥さんにも責任がありますぜ」

「何をバカなこと言ってやがんだ」

「だって奥さんが来ない日は

梁(張り)がない」