大工

 え~、毎度ばかばかしいお笑いを一席。

年も迫った大晦日の晩、ある大工のもとに一本の電話がかかってきます。

「もしもし、今日はなんぼなんでも仕事はできまへんで」

受話器をとるやいなや早口でまくし電話をきろうとする大工

「待ってください、そこをなんとか頼んます」

切羽つまった相手の様子に切るに切れなくなった大工はハナシだけでも聞くことに。

「私はあるオーケストラの指揮する者です。

それが困った事に今晩演奏する会場が漏るんですわ、雨がポタポタと…」

大工はカーテンを開くと気付かなかったが確かに天が降り出していた。

「今時分に雨とは確かに珍しい、せやけど、

今日はなんぼなんでも堪忍しとくんなはれ。せやバケツでもおいて

今日のとこはしのぎはったら」

「そんな訳には行きません。楽器はデリケートな代物です、水でもかかったらパーになります。」

「そない言うても、わし今から紅白観なあかんねや、今時は小林幸子が復活しよるいうてるし」

「紅白も大事ですがオーケストラも大事なんです。」

「いやいやそれはちゃう。年末は日本人なら紅白観なハナシにならんわ」

「そこをなんとかお願いします。

あなたでないと、いやあなたしかいないんです。」

「なんでうちやねん、雨漏りくらいなおせる業者はよそになんぼでもあるやろ」

「いいえ、あなたでないと

年末は大工(第九)が必要」